一夜語 -ひとよがたり‐


科学館や博物館をはじめとして、学校や商業施設など日本には数多くのプラネタリウムがあります。お住まいの近くにもきっとプラネタリウムが見られるところがあるはずです。


そこで投影、上映されるコンテンツはいろいろです。ブラックホールや惑星探査といった特定のテーマを取り上げたもの、アニメキャラクターが星座を紹介するもの、子供向けや、癒しを目的としたものなど。急速に進歩するデジタル技術も取り入れ、より美しい星空と包まれるような全天映像によって、さまざまな番組が楽しめるようになっています。


そんな中、プラネタリウムに携わる人間が機器を操作し、その場で星空や天文現象をお話しするものは、一般的にプラネタリウム生解説(ライブ投影)と呼ばれています。その日の星空の様子、最新の話題を取り入れることができるうえ、笑いを誘ったり、眠りにいざなったり、投影する人によってプラネタリウムの印象は変わっていきます。


一夜語(ひとよがたり)は、そうした人が話をするプラネタリウム投影の一つです。ただ、星座や天体を「解説」するのではなく、それを含めてプラネタリウムの星空を、プラネタリウムという空間すべてを楽しんでもらえるような「投影」をしたいと考えています。


太陽が沈んで、空がゆっくりと夕闇に包まれて、やがていっぱいの星が広がります。月や惑星、星の名をたどったり、星座の形を結んだり。さらには小さな点にしか見えない星たちの本当の姿、想像もつかない広がりをもつ宇宙の奥行き、そうした夜空の不思議さに一つひとつ触れていきます。


華々しい演出や、宇宙空間を飛び回るような迫力の映像などはほとんどありませんが、次の朝日が昇るまで、たっぷりと星空に包まれるひとときをお過ごしいただけるでしょう。大人の方におすすめではありますが、お子さまでもきっと大丈夫。幼稚園や、もっと小さな子でも、泣かずに見てくれる子は多くいます。


静かに時がゆけば空は巡り、やがて東の空から太陽が再び昇ると新しい一日の始まりとなります。

ふと入ったプラネタリウムで、それと知らずご覧になる方がほとんどのはず。けれど、そんな偶然の機会を頂けたことを嬉しく思います。

そしていつの日か…。


縁あらば また この空の下でお会いしましょう。


◆一夜語は、太田哲朗(島根県立三瓶自然館 勤務)によるプラネタリウムのライブ投影です◆