大気の彩り

昼の空が青いのも、日暮れの空が茜に染まるのも、みんな地球の大気のおかげ。さらに大気は、ときどき美しい彩りを見せてくれます。それが大気自体やそこに含まれる水滴・氷晶と、太陽や月の光によって織り成される大気光学現象(大気光象)。こつをつかめば、様々な美しい姿に出会うことができます。


最近見られたものは「お知らせ」ページで随時ご紹介しています。


大気中の水滴によって生じる、最もポピュラーと思われる大気光学現象。ただ、その認知度の高さほど見かける機会はそれほど多くない印象です。位置は太陽の対日点を中心とした半径約42度の円に当たる部分なので、太陽が高いときは地平線近くに、太陽が低いほど大きく立派なものが現れます。副虹、過剰虹などもあわせて見えることがあります。

2008年8月7日19:05頃

島根県大田市

2009年12月1日16:20頃

島根県大田市

2021年11月10日12:05頃

島根県飯南町


環天頂アーク・天頂環・逆さ虹

下に膨らんだ弓型に、太陽の上方約46度離れたところに現れます。大気中の氷晶の屈折によって生じ、見つけるチャンスは朝晩の太陽が低いあたり。特に現れやすいのは太陽高度が22度くらいの時だそうです。日暈や幻日なども一緒に見られることが多くあります。

2005年9月12日16:40頃

鳥取県大山

2018年9月11日16:30頃

香川県女木島

2020年3月7日07:50頃

島根県大田市


環水平アーク・水平環

環天頂アークと同様に氷晶によって生じる浅いお皿のような虹色。太陽の下方約46度のところに現れるので春~秋の昼前後に見られ、一番現れやすいのは太陽高度が68度くらいの時だそうです。明るく立派なものはよく新聞やニュースで「まっすぐな虹が見えた」などといって登場します。日暈と一緒に見える機会が多い感じがします。

2009年6月2日13:30頃

大阪府東大阪市

2011年5月25日10:50頃

島根県大田市

2018年4月26日12:30頃

島根県大田市


幻日(幻月)

太陽(月)の両サイド、約22度離れたところに現れます。縦方向に広がったり、太陽の反対側にトゲが伸びたように見えることもあります。色味は赤が強い印象です。太陽高度が低い朝晩が狙い目で、どちらか片方しか見えないこともよくあります。

2010年3月30日17:50頃

島根県出雲市

【幻月】2010年5月29日23:10頃

島根県大田市

2015年12月29日16:05頃

島根県出雲市

2016年1月11日08:40頃

北海道旭川市

2016年6月14日08:10頃

島根県大田市

2021年1月25日16:25頃

島根県大田市


日暈(月暈)・内暈・22度ハロ

氷晶によって生じる、太陽(月)をとりまく大きなリング。その半径は約22度。薄い雲がかかっているようなときによく現れ、一年を通してよく見える現象です。環天頂アークや環水平アークはこの内暈のおよそ2倍のところに現れるので、この距離感覚がつかめればこれらを探しやすくなるかと思います。夜間、満月前後の明るい月でもよく出ています。

2010年4月26日11:35頃

島根県出雲市

【月暈】2011年11月9日22:50頃

島根県大田市

2021年6月15日11:15頃

島根県大田市


上部タンジェントアーク

上端接弧ともいい、内暈(太陽から半径22度)の上部に接するように現れます。これの面白いところは太陽の高度によって形が変わること。太陽高度が30度くらいの時には平たく内暈にかぶさるように、もっと太陽が低い時には鋭いV字型になります。大気中の氷晶によって生じるので、幻日や内暈などもよく一緒に見られます。

2010年5月29日19:05頃

島根県大田市

2014年2月6日11:35頃

東京都中央区

2015年11月16日10:00頃

島根県大田市


彩雲

雲が赤や緑や青など不規則に色がつくもの。雲の中の水滴による回折によって起こるといい、もくもくとした積雲ではなく、高いところにある軽そうな雲がなりやすいと感じます。彩雲という単語で画像検索すると環水平アークなどの写真もたくさん出てくるので、色づいた雲、という意味で混同されがちかも知れません。

2006年8月17日17:45頃

島根県出雲市

2013年10月6日12:50頃

島根県大田市

2016年2月7日16:40頃

島根県大田市


光芒

大気中の水滴などによって光の道筋が散乱されて見られるもの。地平線や水平線に向かって差すものは天使の梯子とかヤコブの梯子などとも呼ばれます。ただ下に向かうものだけでなく、四方八方に広がるものも現れます。雲の隙間から差す光、そんな表現はアニメなどでもよく見られますね。局地的には煙や霧によって木漏れ日がこうして見えることもよくあります。

2003年12月1日16:30頃

島根県出雲市

2010年8月5日19:40頃

島根県大田市

2014年1月1日15:50頃

島根県出雲市


光柱

氷晶が主に人工の光、漁船の集魚灯やスキー場の照明などを反射して現れます。夜空に光源の数に応じた縦長の光のしみのような感じで見える感じです。

2009年10月11日22:25頃

島根県大田市

2016年1月14日21:10頃

北海道旭川市

2018年1月12日18:45頃

広島県世羅町


映日

氷晶の反射によって、太陽の真下に現れる明るいスポット。地上では見ることができないため、飛行機に乗っているときなどにしか見ることができません。

2014年2月5日12:25頃

出雲ー羽田間空路上

2018年1月9日11:00頃

広島ー新千歳間空路上

2019年1月22日15:05頃

新千歳空港上


レア

個人的な感覚として見られる頻度が大変低いレアな現象。そのため、おそらく、の名前を付けています。

9度ハロ:2014年8月22日12:15頃

大きなリングが内暈(22度ハロ)、その内側にある小さなリングが半径9度の9度ハロ。

外接ハロ:2017年3月20日11:15頃

丸いリングが内暈、それに上下が接して左右に玉子のように膨らんで広がっているのが外接ハロ。

映幻日:2019年12月10日12:05頃(空路上)

太陽は左上にある。窓枠に近い明るいスポットが映日、写真ではその右上にある淡い光が映幻日。

外暈:2021年1月25日16:15頃

下方のリングは内暈、接して左には幻日、右には上部タンジェントアーク。上方の大きな円弧が外暈、接して右側には環天頂アークも。


※大気光学現象は2004年頃から「どこまでも空」という別のサイトでご紹介してきましたが、プロバイダのサービス終了に伴い、主なものを本ページに移設しました。

どこまでも空 大気光学現象(2025年3月31日まで)